Tag: 経済学・経済政策 不完全競争と市場の失敗

情報

不完全競争

  1. 市場の失敗
    • 市場が上手く機能しないこと
    • 市場メカニズムによって最適な資源配分を達成できない
  2. 不完全競争市場
    • 価格支配力を持つ参加者が存在する市場
  3. 限界収入 (MR: Marginal Revenue)
    • 供給量を1単位増やした時に増加する収入
  4. 限界収入曲線
    • 需要曲線の2倍の傾き
      • (「2倍」の理由は下記の動画「はじめよう経済学+(Plus)「第2講 独占」2 総収入と限界収入」を参照)
    • 供給量を1単位増やした時の収入増加(限界収入)が減っていく
    • 供給量を増やさずに市場価格を吊り上げる戦略

独占市場

  1. 独占企業
    • 自社の利潤を最大化する価格設定を行う(プライスメーカー)
  2. 独占均衡
  3. 余剰
    • 独占市場によって失われる余剰(死荷重(死重損失))
  4. 独占的競争
    • 多数の企業が相互に差別化した財・サービスを供給するような競争モデル
      • コメント:名前が紛らわしいが「多数の企業」がポイント。少数の企業ではない。
    • 各企業は自社製品に対して価格支配力を持つため、自社の利潤を最大化するように価格を決める(独占企業と同じ行動)
    • 長期的には市場への参入退出が自由であるため、利潤が見込める場合は参入し、損失を被る場合には退出する
  5. クールノーの点
    • 参考:クールノーの点とは - コトバンク
      独占企業の利潤最大化を達成する生産量と価格の組合せを示す点
      限界収入曲線と限界費用曲線とが交わる点に対応する生産量が、独占企業が選択する生産量
      • 補足:独占価格は需要曲線上の点で決まる
  6. 参考
    1. はじめよう経済学+(Plus)「第2講 独占」1 総収入と限界収入 - YouTube
      • 04:05辺り)独占企業も需要を考える必要がある
      • 05:45辺り)完全競争市場では需要を考える必要が無い為、価格Pは固定になる(P=...の式変形は不要)
      • 11:10辺り)限界収入MRは、総収入をxで微分して求める
      • 12:30辺り)限界収入MRの傾きは、需要曲線の傾きの2倍になる(下記動画の説明の方が詳しい)
      • 16:30辺り)(参考)完全競争市場の場合、総収入曲線は右上がりの直線の為、限界収入MRは一定になる
    2. はじめよう経済学+(Plus)「第2講 独占」2 独占企業の利潤最大化 - YouTube
      • 01:00辺り)限界収入MRの傾きは、需要曲線の傾きの2倍になる
      • 07:20辺り)独占企業の利潤は平行な接線より算出出来る、すなわちMR=MCとなる
      • 12:00辺り)利潤最大化条件(MR=MC)を満たすように生産量を決めれば利潤が最大になる
      • 17:30辺り)独占企業が販売する価格の導出
      • 18:20辺り)クールノーの点
      • 19:00辺り)完全競争市場で決まる価格よりも高く、かつ生産量は減る
      • 20:10辺り)独占企業では供給曲線が存在しない、「価格が決まれば生産量も決まる」訳では無い為
      • 21:35辺り)余剰分析によれば、死荷重が発生し豊かさが減っている
    3. はじめよう経済学+(Plus)「第2講 独占」3 価格差別 - YouTube
      • 00:05辺り)価格差別(差別独占)とは、独占企業が同じ財を異なる市場で異なる価格で販売すること
      • 09:40辺り)学割は企業の利潤を最大にする為の施策であり、社会貢献ではない
      • 10:30辺り)まとめ)需要の価格弾力性が小さい場合は高価格、高い場合は低価格で販売することで企業の利潤を最大化できる

寡占市場

  1. 寡占市場
    • 少数の企業で占有される
    • 競合を意識した活動を行う
  2. ナッシュ均衡
    • 「相手が選ぶ戦略に自分が最適の反応をしている」という状態が、全ての参加者で成り立つ状態
    • 例:囚人のジレンマ
  3. 最適反応戦略
    • 双方が、相手のある戦略下にて自分の利得を最大化させる戦略のこと
  4. 支配戦略
    • 相手がどのような戦略を選択するかに関係なく、自分が大きな利得を確保する為に最適な戦略が1つに決まること
    • ある戦略が相手の戦略に関わらず常に最適であること
  5. 利得表
    • ペイオフマトリクス
  6. 屈折需要曲線
    • 自社の製品価格の変動に対する他社の反応が、価格を上昇させるか低下させるかで異なることから導出される屈折した需要曲線のこと
    • 意味:企業の費用構造が変化しても、寡占企業の製品価格に影響を与えにくい
  7. 価格の下方硬直性
    1. 自社が価格を引き上げた場合
      • 他社は追随せず、価格を据え置く
      • 結果的に、自社の製品に対する需要は大きく減少する
    2. 自社が価格を引き下げた場合
      • 他社も追随して、価格を低下させる
      • 結果的に、自社の製品に対する需要は大きく増加しない
  8. フォーク定理
    • 繰り返しゲームにおいて、協調解がナッシュ均衡として成立するという理論
  9. 協調
    • 両者が選択を約束して守れば、両者共により高い利得を得ること
  10. 期待効用仮説
    • 不確実な状況では、個人は効用の期待値が最大になるように行動すること

市場の失敗

  1. 外部効果
    • ある経済主体の活動が、市場を介さずに他の経済主体に影響を及ぼすこと
  2. 外部効果の内部化
    • 外部効果を市場内部で解決すること
    • 例:政府が市場に介入することによって、外部効果を是正し、最適な資源配分を達成すること
  3. 負の外部効果(外部不経済)
    • 他の経済主体に不利な影響を及ぼす外部効果
    • 例:地球温暖化、環境問題
    1. 社会的限界費用
      • = 私的限界費用 + 社会への悪影響
    2. マイナスの余剰
      • 社会的に望ましい供給量よりも多い量を供給する為
  4. 正の外部効果
    • 例:技術開発、ネットワーク外部性
  5. 過大供給
    • 社会的な最適価格よりも安価で、社会的な最適取引量よりも過大に市場に供給されること
  6. 外部経済
    • 他の経済主体に有利な影響を及ぼす外部効果
  7. 外部費用
    • 総余剰の減少額

負の外部効果の是正

  1. 規制
    • 供給量を制限すること
  2. 税金
  3. 補助金
    • 削減量に応じて補助金を付与
  4. 排出権取引
    • 排出権を市場取引(コストがかかる為、削減を目指す)
  5. 所有権
    • 効率的な資源配分を実施(コースの定理)
  6. 合併
    • 外部効果の発生元と受け手が合併(外部効果が自分の費用になる)
  7. ピグー的政策
    1. ピグー税
      • 私的限界費用(PMC)と社会的限界費用(SMC)が一致するように、政府が税金を課すこと
    2. ピグー補助金
      • 私的限界費用(PMC)と社会的限界費用(SMC)が一致するように、政府が補助金を出すこと
  8. コースの定理
    • 外部効果による非効率的な配分の問題は、当事者間の自発的な交渉によって解決可能
  9. 取引費用
    • 財・サービスの取引行動にともない取引参加者が負担しなければならない費用のこと
    • 例:情報収集費、取引契約の実行の確認費用、危険負担費等
  10. 資産効果
    • 保有する土地や株式などの資産価格や資産残高の実質価値が高まり、消費行動に与える効果のこと

公共財

  1. 消費の非競合性
    • 誰かが消費しても他の人も消費可能(例:公園)
    • ある人の消費が他の人の消費を減少させないこと
  2. 非対称性
    • 対価を支払わない人を排除できない(例:テレビ放送は誰でも受信可)
  3. 消費の排除不可能性
    • 所有者以外の人を、財の消費から排除することができないこと(例:フリーライダー)
  4. フリーライダー問題
    • タダ乗りする人
    • 対策:税金による阻止
  5. 純粋公共財
    • 消費の「非競合性」と「排除不可能性」(非排除性)という2つの性質をもつ財のこと
  6. 準公共財
    • 消費の「非競合性」と「排除不可能性」という2つの性質のいずれか1つだけの性質をもつ財のこと
  7. 等量消費
    • 複数の人々が互いの消費量を減らすことなく、全員が同じ量の財を消費できること
  8. 私的財
    • 消費の非競合性と消費の排除不可能性という2つの性質をもたない財のこと
    • すなわち消費の競合性と消費の排除可能性という2つの性質をもつ財のこと

費用逓減

  1. 費用逓減産業
    • 固定費が大きい為、生産量の増加に伴って平均費用が逓減すること(例:電力、ガス、水道)
    • 自由な市場取引では総余剰が最大にならない為、最適な資源配分が出来ない(市場の失敗)
    • 政府が規制をせず自由な市場取引に任せた場合、独占企業は自己の利潤を最大にするように、限界収入曲線限界費用曲線が交わる点の生産を行う
    • 自由な取引を市場に任せておくと、過少生産、高い独占価格になる(自然独占)
  2. 自然独占
    • 自由競争の結果としての独占
  3. 政府による価格設定
    1. 限界費用価格形成原理
      • 需要曲線と限界費用曲線が交わる点の価格
      • 利点:総余剰は最大で、最適な資源配分になる(死重損失(死荷重)は発生しない
      • 欠点:企業の利潤は赤字になる(赤字補てん)
    2. 平均費用価格形成原理
      • 需要曲線と平均費用曲線が交わる点の価格
      • 利点:利潤が赤字とならず、独立採算で運営することができる
      • 欠点:総余剰は最大にならない(非効率的な資源配分)

情報の非対称性

  1. 逆選択(アドバースセレクション)
  2. 対策
    1. 第三社の介入:ディーラー、格付け機関
    2. 商品の標準化:チェーン店
    3. シグナルの利用:品質を間接的に推測できる仕組みを提供(例:広告宣伝)
    4. 自己選択メカニズム:情報収集の仕組み(例:2タイプの保険商品から契約者の情報を取得)

モラルハザード

  1. 定義
    • 契約後に自分に有利なように行動すること
  2. プリンシパル・エージェント関係
    • 依頼人が、代理人に頼らざるを得ない関係
  3. 対策
    • 行動へのインセンティブ付与(例:成果報酬)

その他

  1. ミニマックス戦略
    • 相手が自分にとって最も不利な行動をとることを想定して、自己の利益を最大限に確保しようとする戦略(自己の損失を最も少なくしようとする戦略)
  2. トリガー戦略
    • 繰り返しゲームにおいて、相手が協力する限りは協力で応じるが、相手が非協力の行動をとれば非協力に変更し、以後は非協力の行動をとり続ける戦略
  3. ハーフィンダール・ハーシュマン指数(HHI)
    • ある業界の市場における企業間の競争状態を測る指数で、市場占有の度合いを示す
  4. 経済財
    • 数量的な制限から希少価値が発生し、入手のためには代価を支払うことが必要となる財のこと

目次

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用語集


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