Tag: 経済学・経済政策 不完全競争と市場の失敗

情報

不完全競争

  1. 市場の失敗
    • 市場が上手く機能しないこと
    • 市場メカニズムによって最適な資源配分を達成できない
  2. 不完全競争市場
    • 価格支配力を持つ参加者が存在する市場
  3. 限界収入 (MR)
    • 供給量を1単位増やした時に増加する収入

独占市場

  1. 独占企業
    • 自社の利潤を最大化する価格設定を行う(プライスメーカー)
  2. 限界収入曲線
    • 需要曲線の2倍の傾き(供給量を1単位増やした時の収入増加(限界収入)が減っていく)
      • 供給量を増やさずに市場価格を吊り上げる戦略
  3. 独占均衡
    • 限界収入曲線と限界費用曲線が交わる点の供給量が利潤を最大化する
    • 限界収入(MR)=限界費用(MC)
    • その供給量と需要曲線の接点は、完全市場の場合よりも価格が高く数量が低い(例:原油市場)
  4. 余剰
    • 独占市場によって失われる余剰(死荷重)
  5. 独占的競争
    • 多数の企業が相互に差別化した財・サービスを供給するような競争モデル
    • 各企業は自社製品に対して価格支配力を持つため、自社の利潤を最大化するように価格を決める(独占企業と同じ行動)
    • 長期的には市場への参入退出が自由であるため、利潤が見込める場合は参入し、損失を被る場合には退出する

寡占市場

  1. 寡占市場
    • 少数の企業で占有される
    • 競合を意識した活動を行う
  2. ナッシュ均衡
    • 両者の戦略に対して最適反応を示す状態
  3. 最適反応戦略
    • 双方が、相手のある戦略下にて自分の利得を最大化させる戦略のこと
  4. 支配戦略
    • 相手がどのような戦略を選択するかに関係なく、自分が大きな利得を確保する為に最適な戦略が1つに決まる場合の戦略のこと
  5. 利得表
    • ペイオフマトリクス
  6. 屈折需要曲線
    • 自社の製品価格の変動に対する他社の反応が、価格を上昇させるか低下させるかで異なることから導出される屈折した需要曲線のこと
    • 意味:企業の費用構造の変化は、寡占企業の製品価格に影響を与えにくい
    • 価格の下方硬直性
    1. 自社が価格を引き上げたとき
      • 他社はこれに追随せず、価格を据え置く
      • 自社の製品に対する需要は大きく減少する
    2. 自社が価格を引き下げたとき
      • 他社もこれに追随して、価格を低下させる
      • 自社の製品に対する需要の増加は大きくない

市場の失敗

  1. 外部効果
    • ある経済主体の活動が、市場を介さずに他の経済主体に影響を及ぼすこと
  2. 負の外部効果(外部不経済)
    • 例:地球温暖化、環境問題
    1. 社会的限界費用
      • = 私的限界費用 + 社会への悪影響
    2. マイナスの余剰
      • 社会的に望ましい供給量よりも多い量を供給する為
  3. 正の外部効果
    • 例:技術開発、ネットワーク外部性
  4. 外部効果の内部化
    • 外部効果を市場内部で解決すること

負の外部効果の是正

  1. 規制
    • 供給量を制限すること
  2. 税金
    • 供給量に応じて課税すること(ピグー税)
  3. 補助金
    • 削減量に応じて補助金を付与
  4. 排出権取引
    • 排出権を市場取引(コストがかかる為、削減を目指す)
  5. 所有権
    • 効率的な資源配分を実施(コースの定理)
  6. 合併
    • 外部効果の発生元と受け手が合併(外部効果が自分の費用になる)
  7. ピグー的政策
    1. ピグー税
      • 私的限界費用(PMC)と社会的限界費用(SMC)が一致するように、政府が税金を課すこと
    2. ピグー補助金
      • 私的限界費用(PMC)と社会的限界費用(SMC)が一致するように、政府が補助金を出すこと
  8. コースの定理
    • 外部効果による非効率的な配分の問題は、当事者間の自発的な交渉によって解決可能

公共財

  1. 消費の非競合性
    • 誰かが消費しても他の人も消費可能(例:公園)
    • ある人の消費が他の人の消費を減少させないこと
  2. 非対称性
    • 対価を支払わない人を排除できない(例:テレビ放送は誰でも受信可)
  3. フリーライダー問題
    • タダ乗りする人
    • 対策:税金による阻止
  4. 純粋公共財
    • 消費の非競合性と消費の排除不可能性(非排除性)という2つの性質をもつ財のこと
  5. 消費の排除不可能性
    • 所有者以外の人を、財の消費から排除することができないこと(例:フリーライダー)
  6. 等量消費
    • 複数の人々が互いの消費量を減らすことなく、全員が同じ量の財を消費できること
  7. 準公共財
    • 消費の非競合性と消費の排除不可能性という2つの性質のいずれか1つだけの性質をもつ財のこと
  8. 私的財
    • 消費の非競合性と消費の排除不可能性という2つの性質をもたない財のこと
    • すなわち消費の競合性と消費の排除可能性という2つの性質をもつ財のこと

費用逓減

  1. 費用逓減産業
    • 固定費が大きい為、生産量の増加に伴って平均費用が逓減すること(例:電力、ガス、水道)
    • 自由な市場取引では総余剰が最大にならない為、最適な資源配分が出来ない(市場の失敗)
    • 自由な取引を市場に任せておくと、過少生産、高い独占価格になる(自然独占)
  2. 自然独占
    • 自由競争の結果としての独占
  3. 政府による価格設定
    1. 限界費用価格形成原理
      • 総余剰は最大になるが、企業の利潤は赤字になってしまう(赤字補てん)
      • 需要曲線と限界費用曲線が交わる点の価格
    2. 平均費用価格形成原理
      • 利潤は赤字にはならないが、総余剰は最大にならない(非効率的な資源配分)
      • 需要曲線と平均費用曲線が交わる点の価格

情報の非対称性

  1. 逆選択(アドバースセレクション)
    • 品質の悪い財が、品質の良い財よりも多く出回ること(レモン市場、例:中古車市場)
  2. 対策
    1. 第三社の介入:ディーラー、格付け機関
    2. 商品の標準化:チェーン店
    3. シグナルの利用:品質を間接的に推測できる仕組みを提供(例:広告宣伝)
    4. 自己選択メカニズム:情報収集の仕組み(例:2タイプの保険商品から契約者の情報を取得)

モラルハザード

  1. 定義
    • 契約後に自分に有利なように行動すること
  2. プリンシパル・エージェント関係
    • 依頼人が、代理人に頼らざるを得ない関係
  3. 対策
    • 行動へのインセンティブ付与(例:成果報酬)

その他

  1. フォーク定理
    • 繰り返しゲームにおいて、協調解がナッシュ均衡として成立するという理論
  2. ミニマックス戦略
    • 相手が自分にとって最も不利な行動をとることを想定して、そのときに自己の利益を最大限に確保しようとする戦略(自己の損失を最も少なくしようとする戦略)
  3. トリガー戦略
    • 繰り返しゲームにおいて、相手が協力する限りは協力で応じるが、相手が非協力の行動をとれば非協力に切り替えて、以後は非協力の行動をとり続ける戦略
  4. 期待効用仮説
    • 不確実な状況では、個人は効用の期待値が最大になるように行動すること

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用語集


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