#author("2025-04-28T08:48:18+00:00","default:hotate","hotate") #author("2025-04-28T08:50:16+00:00","default:hotate","hotate") #contents &tag(財務・会計); - B [[財務・会計]] - B-5 [[原価計算]] * 情報 [#lf91b468] ** 概要 [#hf1d514b] + 原価の定義 -- 財貨の生産、販売に関して消費された経済価値 + 製造原価 -- 「直接/間接」x「材料費/労務費/経費」の組合せである計6要素の合計 + 総原価 -- = 製造原価 + 販管費 -- = 販売費及び一般管理費+ 素価+ 製造間接費 -- 製造原価と販売費及び一般管理費を加えた広い意味での原価 + 素価 -- = 直接材料費 + 直接労務費 + 費目 ++ 材料費 ++ 労務費 ++ 経費 + 製造直接費 -- 特定の製品製造に関わる為、単独で計算する -- 例:直接材料費、直接労務費、直接経費 + ''製造間接費'' -- 特定の製品製造に関わらない為、まとめて計算する(工場の減価償却費等) -- 例:間接材料費、間接労務費、間接経費 -- コメント:直接労務費、直接経費等と並んでいると同じレベルの概念と思ってしまうが、実は間接xx費をまとめたものなのでレベルが異なる + 原価要素 -- 「直接/間接」x 「材料費/労務費/経費」(計6パターン) + 機会原価 -- 資源を他の用途に利用したら得られるであろうと予測される利益 -- 参考:[[機会原価と埋没原価とは【具体例でわかりやすく】 | 暗記不要の簿記独学講座>https://wwboki.jp/dokuboki/column/hidden/]] 機会原価はもう一方の選択肢をを選んだときに得られたであろう利益、埋没原価はどの案を選んでも同じようにかかる原価です。 + 関連原価 -- 代替案の比較によって発生額の異なる原価 + 限界原価 -- 生産量に比例して発生する外部からの購入費用 + 埋没原価 -- 一度投資してしまうと回収することができない原価のこと + 裁量可能原価 -- 企業がコントロールすることができる原価のこと + 直接配賦法 -- 配賦計算を簡便にするため補助部門が他の補助部門に対して提供したサービスは無視し、製造部門だけにサービスを提供したとみなして配賦計算を行う + 相互配賦法 -- 補助部門が他の補助部門に対して提供したサービスも無視せず配賦計算を行う ** 製造原価報告書 [#a2f21c28] + 当期総製造費用 -- = 材料費 + 労務費 + 経費 + 材料費 -- = 期首材料棚卸高 + 当期材料仕入高 - 期末材料棚卸高 + 労務費 -- = 当期支払高 + 期末未払高 - 期首未払高 --- 考え方:「当期支払高」には色々含まれている為、純粋に今期分のみを求めるのが目的。まずは期首の未払分から前期の費用を控除し、期末時点で未払いになっている費用は当期の労務費として計上する(相互関係は図で示すと分かりやすい) + ''当期製品製造原価'' -- = 当期製品製造原価 + 期末仕掛品たな卸高 - 期首仕掛品たな卸高 -- 定義:当期に''完成した''製品の原価合計 -- 注:「当期製品製造原価」と「当期総製造費用」は異なる + 売上原価 -- 定義:当期に''引き渡した''製品の原価合計 ** 計算方法 [#we468606] + 個別原価計算 -- 個別の製品ごとに原価計算をする方法 -- 間接材料費、間接労務費、間接経費を「製造間接費」(上記)として''まとめて''計算する ++ 製造直接費 --- ''賦課'':製品に負担させる ++ 製造間接費 --- ''配賦'':配賦基準に従って割り振る ++ 期末仕掛品 --- 除去 + 総合原価計算 -- 大量生産形態で使われる方法 --- 参考:[[【総合原価計算とは?】その概要と基本的な計算方法>https://inuboki.com/2kyuu_koubo/chapter5-1.html]] -- 1ヶ月単位に発生した原価を集計し、生産量で割ることで製品あたりの原価を計算する ++ 直接材料費 --- 工程始点で発生する ++ ''加工費'' --- 直接材料費以外の原価要素 --- = 直接労務費 + 直接経費 + 製造間接費 --- = 直接労務費 + 直接経費 +(間接材料費 + 間接労務費 + 間接経費) --- 「製造間接費」(上記)は、進捗度に応じて発生する --- 完成品の加工費 = 加工費 x 完成品数 / 当月投入数(換算量) --- 当期投入 = 当期完成品 + 期末仕掛品換算量 - 期初仕掛品換算量 + 期末仕掛品原価 ++ 先入先出法 ++ 後入先出法 ++ 平均法 + 減損 -- 製品の加工中に原材料の一部が蒸発、粉散、ガス化、煙化などの原因よって消失してしまう、製品化しない無価値な部分が発生すること -- 関連:[[減損会計 - 投資評価>投資評価#p453994a]] + 正常減損 -- 製造活動の工程において製品の加工中に生じる、やむを得ない程度の減損 + 正常減損度外視法 -- 正常減損費を完成品や月末仕掛品に負担させる場合、正常減損の発生を無視して自動的に負担させる方法 ** 標準原価計算 [#ha673593] + 実際原価 -- 実際消費量を使って計算する -- 予定価格を使っても実際消費量を使っていれば実際原価 + 原価標準 -- 製品1単位の標準的な原価 + 標準原価 -- 目標となる原価 + 標準原価計算 -- 予め製品の製造での標準的な原価を設定しておく + 原価差異分析 -- 標準原価と、実際に発生した原価を比較して''原価差異''を計算し、''原価差異分析''することで限界の改善に活かす + 非原価項目 -- 原価に含めない項目 ++ 経営目的に関連しない価値の減少 --- 支払利息などの財務費用、投資用の資産や未稼動・休止中の固定資産、有価証券の評価損・売却損、寄付金等 ++ 異常な状態を原因とする価値の減少 --- 異常な仕損・減損・棚卸減耗、火災・震災・風水害・盗難等による損失、臨時多額の退職手当、固定資産の売却損・除却損、異常な貸倒損失等 ++ 税法上特に認められている損金算入項目 --- 価格変動準備金繰入額や、租税特別措置法による償却額のうち通常の償却範囲額を超える額等 ++ その他の利益剰余金に課する項目 --- 法人税・所得税・都道府県民税・市町村民税や、配当金、役員賞与金、任意積立金繰入額、建設利息償却等 ++ 参考:[[図解!原価計算基準五【非原価項目】|稲垣経営研究所|note8周年事業発表会公認レポータ(税理士・中小企業診断士)>https://note.com/hiraku1977/n/n5d27e9e2de55]] 経営の目的は、製品やサービスを生産し販売することですから、経営の目的に関連しない財務活動や利益剰余金に関連する支出は原価ではありません。 + 標準原価差異 + 有利差異 -- 利益になる + 不利差異 -- 不利益になる + 差異分析 ++ ''直接材料費差異'' (標準が内側、実際が外側) --- = 「材料数量差異」+「材料価格差異」 +++ 横軸:数量(消費量) +++ 縦軸:価格(単価等) ++ 直接労務費差異(標準が内側、実際が外側) --- = 「作業時間差異」+「賃率差異」 +++ 横軸:時間(作業時間) +++ 縦軸:賃率 + 作業時間差異 -- 1単位あたりに要した作業時間が、予定と異なった時に発生する「原価差異」 + 理想標準原価 -- 技術的に達成可能な操業度の下で、最高の作業能率が発揮された状態で計算される最低額の原価 -- 減損、仕損、遊休時間などの余裕を許容しない理論的に最高水準の原価(現実には実現不可) -- 原価管理には適さないが、目標設定の資料としては有効 + 現実的標準原価 -- 実現可能な操業度の下で、通常程度の努力によって達成可能な原価 -- 短期間における予定操業度、予定価格標準、達成可能な能率標準によって求められ、通常生じると認められる程度の減損、仕損、有休時間などの余裕を含む -- 達成可能な目標として設定される為、原価管理に最も適している -- 現場の作業者に提示することでモチベーションの維持・向上に寄与する + 正常標準原価 -- 経営における異常な状態を排除し、経営活動に関する長期に渡る過去の実績数値を統計的に標準化し(平均原価を算出)、将来の見込みを加味した正常能率、正常操業度、正常価格に基づいて求められる原価 -- 経済状態が安定している場合に、製品原価の策定、利益計画および原価管理などにも有効 ** 直接原価計算 [#m49f115c] + 全部原価計算 -- 変動費と固定費を区別せずに、全てを原価とする -- 財務諸表の表示で認められている -- 参考:[[直接原価計算とは?全部原価計算との違いや計算のポイント | クラウド会計ソフト マネーフォワード>https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/66517/#i-5]] - 全部原価計算とは、変動費に加えて固定費も製造原価に計上する原価計算の方法です。 - 売上金額に左右されない固定費も参入されるため、短期的な売上に対する原価率は見えにくいといえるでしょう。 - 一方で原価を変動費と固定費に分ける必要がなく、事務処理が簡単な点はメリットです。 + 部分原価 -- 一部の原価のみ + 直接原価計算 -- 変動費と固定費に分けて計算する ++ ''変動製造マージン'' --- = 売上高 - 変動売上原価 ++ 変動売上原価 --- 製造原価から変動費だけを集計したもの ++ ''限界利益'' --- = 変動製造マージン - 変動販売費 --- = 売上高 - 変動費(= 変動製造費 + 変動販管費) ++ 変動販売費 --- 販売費のうち変動費だけを集計したもの + 全部原価計算 -- 変動費と固定費を区別せずに、全てを原価とする -- 財務諸表の表示で認められている -- 参考:[[直接原価計算とは?全部原価計算との違いや計算のポイント | クラウド会計ソフト マネーフォワード>https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/66517/#i-5]] - 全部原価計算とは、変動費に加えて固定費も製造原価に計上する原価計算の方法です。 - 売上金額に左右されない固定費も参入されるため、短期的な売上に対する原価率は見えにくいといえるでしょう。 - 一方で原価を変動費と固定費に分ける必要がなく、事務処理が簡単な点はメリットです。 + 部分原価 -- 一部の原価のみ + 営業利益の相違 ++ 直接原価計算 --- 当期に発生した固定製造原価を全て当期中に費用化する ++ 全部原価計算 --- 固定製造原価のうち売上原価に含まれる金額のみを費用化する(固定製造原価は含まれない) ** その他 [#m70ce112] + 予算差異 -- 製造間接費の実際発生額と製造間接費予算との差異 + 操業度差異 -- 実際作業時間が基準操業度に達しない時に発生 + 能率差異 -- 不能率が発生した等で製造間接費に無駄が生じた場合に発生 + [[活動基準原価計算]] + [[「品質原価計算」という考え方 - JAGAT>https://www.jagat.or.jp/past_archives/content/view/4821.html]] (1)品質適合コスト 1.予防原価:製品の品質不良の発生を予防する活動にかかる原価のこと 2. 評価原価:製品の品質不良の有無を発見するための活動にかかる原価のこと (2)品質不適合コスト 1. 内部失敗原価:製品の出荷前に不良品が発生した場合に生じる原価のこと 2. 外部失敗原価:製品の出荷後に不良品が発生した場合に生じる原価のこと + 参考:[[仕掛品の意味や半製品との違い 棚卸資産での計上方法や読み方まで解説 | クラウド会計ソフト マネーフォワード>https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/45932/#i]] 仕掛品(しかかりひん)とは、企業会計において、製造途中の段階で未完成の状態の製品のことであり、原材料を少しでも加工している製品のことを指します ++ 参考:[[製品とは|商品との違いは?製造原価の計算方法は?|freee税理士検索>https://advisors-freee.jp/article/category/cat-big-03/cat-small-07/13148/]] 製品は、製造工程が終了して完成したものであるのに対して、製造過程の途中段階にあってまだ完成品となっていないものは、「仕掛品」または「半製品」となります。 * 目次 [#t7ef6067] - B [[財務・会計]] - B-1 [[財務諸表]] - B-2 [[簿記の基礎知識]] - B-3 [[税務・結合会計]] - B-4 [[キャッシュフロー計算書]] - B-5 ''[[原価計算]]'' - B-6 [[経営分析]] - B-7 [[投資評価]] - B-8 [[資本市場と資本コスト]] - B-9 [[現代のファイナンス]] * 関連 [#p854da96] #related * [[用語集]] [#a4ccd17e] #taglist(tag=財務・会計)