#author("2025-03-29T04:10:10+00:00","default:hotate","hotate")
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#contents
&tag(財務・会計);

- B [[財務・会計]]

* 情報 [#lf91b468]
** 企業価値 [#i222894f]
+ 企業全体の価値を金額で表したもの
-- 参考:[[企業価値とは何か?~事業価値、株主価値の違い~>https://freeway-keiri.com/blog/view/318]]
 株主価値とは、株主に帰属する価値のことであり、企業価値から有利子負債などの他人資本(負債)を差し引いたものです。「企業価値 = 株主価値 + 負債価値」という公式が成り立ちます。
+ 企業評価のアプローチ手法
++ コスト・アプローチ
--- 過去の蓄積を基礎とする
++ インカム・アプローチ
--- 将来の収益性を基礎とする(例:[[DCF法>#ufb23cc2]]、[[収益還元法>#ia7e6adf]])
++ マーケット・アプローチ
--- 実際の売買市場で成立している類似企業の株価を基礎とする(例:[[配当還元法>#ac5cca1e]]、[[純資産法>#r1a21f27]])

**  DCF法 [#ufb23cc2]
+ ''企業価値'' = FCFの現在価値 
-- DCF: Discount Cash Flow (ディスカウント・キャッシュ・フロー法)
-- FCF: [[フリーキャッシュフロー(投資評価)>投資評価#bfe4692c]]
-- 意味:資産が生み出すキャッシュフローの現在価値(貸借対照表の資産)
--- 貸借対照表にて負債は変わらないので、株主価値が増えたと考える
-- 参考:[[企業価値算定手法の代表格「DCF法」とは? | 経理プラス>https://keiriplus.jp/tips/kigyoukachisantei_dcf/]]
 企業価値 = FCF ÷ WACC であるから、
 企業価値 = 60 ÷ 6.12% ≒ 980億円
+ 毎年一定の場合
-- ''企業価値'' = FCF / r (r: 資本コスト)
--- 資本コスト:WACC ([[資本市場と資本コスト>資本市場と資本コスト#lef6da7c]])
+ 成長率が一定の場合(定率成長モデル)
-- ''企業価値'' = FCF / (r - g) (g: 成長率)
-- 関連:配当割引モデル([[下記>#g72d6422]])
+ [[アプローチ手法>#t95c973b]]分類
-- インカム・アプローチ
+ 欠点
-- 将来の業績を予測する必要があるが、正確に予測することは難しい
+ 継続価値
-- [[継続価値[用語の意味がわかりやすい!M&A用語入門解説] | ZEIKEN LINKS 事業承継・M&Aの知識・情報>https://links.zeiken.co.jp/glossary/2200]]
 事業計画の最終年度のフリーキャッシュフローがその後永続して発⽣するという仮定をおき、予測期間以降の予測フリーキャッシュフローの割引現在価値を継続価値とする

** 収益還元法 [#ia7e6adf]
+ FCFの代わりに会計上の利益を使って計算する
-- 計算式はDCF法と良く似ているが「予想税引後利益」を使う点が異なる
+ ''企業価値'' = 予想税引後利益 / 資本還元率
-- 予想税引後利益:一定という前提
-- 資本還元率:割引率([[株主資本コスト>#g72d6422]])
+ [[アプローチ手法>#t95c973b]]
-- インカム・アプローチ

** 配当還元法 [#ac5cca1e]
+ 株主価値(株式価値)
--  = 配当額 / 資本還元率
-- 配当額:一定という前提
-- 資本還元率:割引率([[株主資本コスト>#g72d6422]])
+ ''企業価値''
-- = 負債価値 + 株主価値
-- 参考:[[企業価値とは | M&Aの基礎知識|中小企業M&Aのインテグループ>https://www.integroup.jp/ma/]]
 負債価値とは、有利子負債(銀行借入金・社債等)の価値の総和で、一般的には、借入金の額面総額と考えて差し支えありません。
-- 参考:[[企業価値算定手法の代表格「DCF法」とは? | 経理プラス>https://keiriplus.jp/tips/kigyoukachisantei_dcf/]]
 フローアプローチによる企業価値評価
 企業価値 = 株式価値 + 負債価値
+ [[アプローチ手法>#t95c973b]]
-- マーケット・アプローチ
+ 株価倍率法
-- 上場されていない企業について、同業種の上場企業を参照し、その指標を参考に企業評価額を類推する方法
+ ゴードン・モデル方式
-- 定義
--- 配当が毎期一定ではなく、企業が得た利益のうち配当に回されなかった内部留保額は再投資されて新たな利益を生み出し、配当の増加を期待できるという方法
-- 欠点
--- 成長を前提としているために、成長性の低い企業の評価には適していない
+ 実際配当還元方式
-- 過去に企業が実際に配当した金額を基に、将来の配当予想額を計算して株式価値を評価する方法

** 純資産法 [#r1a21f27]
+ [[アプローチ手法>#t95c973b]]
--  コスト・アプローチ

*** 簿価純資産法 [#jbcfbf12]
+ 定義
-- 株主価値 = 資産(簿価) - 負債(簿価)
+ 意味
-- 資産(簿価)から負債(簿価)を控除したものを株主価値とする
-- 会社を清算した時の価値
+ 欠点
-- 過去の利益に基づく純資産をベースに評価するため、企業の成長性を加味できない

*** 時価純資産法 [#bbdcd41e]
+ 株主価値 = 資産(時価) - 負債(時価)
-- 資産(時価)から負債(時価)を控除したものを株主価値とする

** MM理論(モジリアーニ・ミラー理論) [#jea9b8eb]
+ 前提
-- 法人税が存在しない完全資本市場
+ 結論
-- 企業価値は資本構成に依存しない
+ 最適資本構成
-- 企業価値を最大にする負債と自己資本の組み合わせ
+ 企業価値の増加分(節税効果)
-- (単年度CF)= 負債額の支払利息 x 法人税率
-- (複数年継続)= 負債額 x 法人税率
-- 法人税が存在する場合、借入(負債)の調達に対して支払利息が発生し、その[[損金算入>税務・結合会計#pdb1141c]]によって法人税が軽減される。
-- 情報:[[節税効果|グロービス経営大学院 創造と変革のMBA>https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12349.html]]
 負債の利子費用が税控除の対象となることから、事業や企業の経済的価値が増す効果

** 株価評価 [#g72d6422]
+ ''理論株価''
-- = 株主価値 / 発行済株式数
--- 株主価値:[[配当還元法>#ac5cca1e]]を参照
-- 参考:[[理論株価の基本を知ろう | 記事 | コラム | トレーダーズ・ウェブ>https://www.traders.co.jp/column/article/20]]
 理論株価=PER(株価収益率)×予想EPS(1株あたり当期純利益)
+ ''PER''(株価収益率、Price Earning Ratio)
-- = 株価 / 1株あたり当期純利益 (EPS)
-- = (株価 x 発行済株式数) / (EPS x 発行済株式数)
-- = 株式時価総額 / 当期純利益
-- = (株式時価総額 / 自己資本) / (当期純利益 / 自己資本)
-- = PBR(株価純資産倍率) / ROE(自己資本利益率)
+ EPS(1株当たり当期純利益、Earning Per Share)
-- = 当期純利益 / 発行済株式数
-- 意味:収益面での評価を示す、単位は倍率、倍率が高いほど割高
+ ''PBR''(株価純資産倍率、Price Book-value Ratio)
-- = 株価 / 1株あたり純資産額 (BPS)
-- = 株価 x 発行済株式数 / 1株あたり純資産額 (BPS) x 発行済株式数
-- = 株式時価総額 / 純資産額
+ BPS(1株当たり純資産、Book-Value Per Share)
-- = 純資産 / 発行済株式数
--- 純資産 = 総資産 - 負債([[用語集/経営]])
-- 意味:資産面での評価を示す、単位は倍率、基準は1倍(1倍未満なら割安)、純資産額は会社精算時に残る金額
+ PCFR(株価キャッシュフロー倍率)
-- = 株価 / 1株あたりのキャッシュフロー
-- 1株あたりのキャッシュフロー = CF / 発行済株式数
-- 意味:キャッシュ・フローでの評価を示す、倍率が高いほど割高
+ 配当利回り
-- = 1株あたりの配当 / 株価
-- = 1株あたりの配当 x 発行済株式数 / 株価 x 発行済株式数
-- = 配当総額 / 株式時価総額
-- 1株あたりの配当 = 配当総額 / 発行済株式数
-- 意味:通常は高い方が良い(成長期の企業など例外あり)
+ 配当性向
-- = 配当総額 / 当期純利益
-- 意味:利益中の配当の割合を示し、通常は高い方が良い(成長期の企業など例外あり)
+ DOE(自己資本配当率、Dividend On Equity)
-- = 配当総額 / 自己資本
-- 企業が自己資本に対してどれだけ株主に配当金を支払ったかを示す指標
+ ROE(自己資本利益率、Return On Equity)
-- = 当期純利益 / 自己資本
-- 自己資本 = 純資産 - 新株予約権 - 少数株主持分
-- 注:PBRの分母は純資産だが、違いが少ない為、自己資本と同値と見なしてROEを計算に使うことがある。
-- 注:結果的に DOE = (当期純利益 / 自己資本) × (配当総額 / 当期純利益)= ROE(自己資本利益率) × 配当性向 の関係あり
+ 配当割引モデル
-- 株式価値 = 配当額 / 期待収益率(自己資本コスト)
--- 期待収益率:[[CAPM>資本市場と資本コスト#ka2b8224]]で計算する
-- 参考:[[自己資本利益率と資本還元率の関係で、資本還元率は、全国の平均・その市場や業... - Yahoo!知恵袋>https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12162988797?__ysp=6LOH5pys6YKE5YWD546H]]
 資本還元率って、いまのファイナンスのテキストでは株主資本コストと呼ばれることが多いと思います。
 株主資本コストとは株主がその企業に要求する収益率のことです
-- 参考:[[配当割引モデル(DDM)をゼロから徹底解説 - バフェット・コードマガジン>https://www.buffett-code.com/articles/5686]]
 その名の通り将来受け取る配当を割り引くことで株価を算定する方法です。
 株価 = 1株あたり配当D ÷(株主資本コストr – 配当成長率g)
--- コメント:数式の導出過程が説明されており非常に分かりやすい。(2025/03/17)

** デリバティブ [#wd3e2571]
+ 為替予約
-- 目的:為替レートの変動リスクを回避
-- 方法:将来の為替レートを予め決めておく、キャンセル不可
+ オプション取引
-- 意味:決められた期間内に予め決められた価格で取引する権利、権利の行使を選択可能
-- グラフ:買い手は損しない(上方向に延びる)
++ コール・オプション
--- 買う権利
--- 例:コール・オプションの買い:輸入業者が利用する(レートが上がる程、損益も上がる)
++ プット・オプション
--- 売る権利
--- 例:プット・オプションの買い:輸出業者が利用する(レートが下がる程、損益も上がる)
++ ヨーロピアン
--- 満期日のみ権利を行使可能
++ アメリカン
--- 満期日以前でも権利を行使可能(その分、プレミアムは割高になる)
++ オプション料
--- 保険の保険料に相当(プレミアム)
--- = 本質的価値 + 時間的価値
+ 本質的価値
-- オプションを権利行使した場合に生じる価値(原資産価格と権利行使価格との差額)のこと(内在的価値)
-- ゼロになることはあっても、マイナスになることはない(権利を放棄すれば良い為)
++ イン・ザ・マネー
--- 本質的価値が有る状態(権利行使価格を上回っている)
++ アット・ザ・マネー
--- 原資産価格と権利行使価格が等しい状態(本質的価値は無い)
++ アウト・オブ・ザ・マネー
--- 本質的価値が無い状態(コールでは権利行使価格を下回っている)
+ 時間的価値
-- 原資産の現時点から満期日までの間の価格変動により、オプションの本質的価値が上昇することへの ''期待値'' のこと
-- ゼロになることはあっても、マイナスになることはない
-- プレミアム(オプション価格)に、時間の経過や価格変動の大きさなどの時間的価値が影響してくる点がオプションの特徴
+ 先物取引(フューチャー)
-- 取引所で取引される(契約の履行を取引所が保証)
-- 差額精算(差金決済)
-- 決済日:当初取り決めた日 ''以前'' に決済される
-- 日々証拠金の値洗いが行われる
-- 価格・数量・受渡し決済日が決まっているレディー・メイドの取引
+ 先渡取引(フォワード)
-- 取引条件を当事者間で任意に取り決める
-- 売手と買手の1対1の相対取引
-- 現物決済
-- 決済日:当初決めた日
+ オプションプレミアム
-- オプション料(保険会社に払う保険料に相当)
+ 値洗い
-- 毎日損益を決済しておくこと
+ 金利スワップ取引
-- 同じ通貨の中で、異なる金利を交換する取引
-- 元本の交換は行わないが、利息計算のために元本を定める(想定元本)
-- 例:同一通貨において固定金利と変動金利を交換する取引
+ 通貨スワップ取引
-- 異なった通貨の金利や元本を交換する取引
-- 金利だけでなく元本も交換する(想定元本とは呼ばない)
+ 直直差額
-- = 取引発生時の直物為替相場と、為替予約時の直物為替相場の変動による差額
+ 直先差額
-- = 為替予約時の直物差額相場と、先物為替相場との差額
+ 直物為替相場
-- 参考:[[直物為替相場 | みずほ証券 ファイナンス用語集>https://glossary.mizuho-sc.com/faq/show/1237?site_domain=default]]
 直物為替相場(Spot Exchange Rate、じきものかわせそうば)とは、外国為替取引において、売買契約成立と同時に、または以後数日中(2営業日後)に、外国通貨とその対価である自国通貨の受渡しを行う直物取引に適用される相場を意味する。

** 割引超過モデル(残余モデル) [#a127eb4e]
+ (将来CFではなく)営業利益から自己資本コストを控除した残額(超過利益)を用いて計算するモデル
-- 株式価値 = B0 + (E1-rB0)/(1+r) + (E2-rB1)/(1+r)^2 + ... + (Et-rB(t-1))/(1+r)^t - Bt/(1+r)^t
--- B0:期首の自己資本の簿価
--- E1:当期純利益
--- r:資本コスト(将来の超過価値を自己資本コストで割引く) 
--- 意味:現在の自己資本簿価と、将来の各期間の超過利益の割引現在価値の合計
+ クリーンサープラス関係
-- 貸借対照表における「純資産の増減rB」が「損益計算書における当期純利益E」と一致する関係(配当金Dがある場合は、当期純利益Eから配当金Dを控除した金額)
--- rB = E - D
-- サープラス(剰余金)に損益以外の項目が混入していない(クリーンである)という意味
+ 割引配当モデル
-- クリーンサープラス関係が成り立つ場合、割引超過モデル(上記)は 割引配当モデルより算出可能
-- 株式価値 = D1/(1+r) + D2/(1+r)^2 + ... + Dt)/(1+r)^t + ...
--- D:配当金の総額
--- r:資本コスト(将来の超過価値を自己資本コストで割引く) 

** その他 [#t95c973b]
+ 企業評価のアプローチ手法
++ コスト・アプローチ
--- 過去の蓄積を基礎とする
++ インカム・アプローチ
--- 将来の収益性を基礎とする(例:[[DCF法>#ufb23cc2]]、[[収益還元法>#ia7e6adf]])
++ マーケット・アプローチ
--- 実際の売買市場で成立している類似企業の株価を基礎とする(例:[[配当還元法>#ac5cca1e]]、[[純資産法>#r1a21f27]])
+ [[スポットレート|証券用語解説集|野村證券>https://www.nomura.co.jp/terms/japan/su/spotrate.html]]
 スポットレートは、現在と将来の一時点の間に適用される金利のことをいう。


* 目次 [#t7ef6067]
- B [[財務・会計]]
- B-1 [[財務諸表]]
- B-2 [[簿記の基礎知識]]
- B-3 [[税務・結合会計]]
- B-4 [[キャッシュフロー計算書]]
- B-5 [[原価計算]]
- B-6 [[経営分析]]
- B-7 [[投資評価]]
- B-8 [[資本市場と資本コスト]]
- B-9 ''[[現代のファイナンス]]''

* 関連 [#p854da96]
#related

* [[用語集]] [#a4ccd17e]
#taglist(tag=財務・会計)

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