#author("2023-05-17T12:11:24+00:00","default:hotate","hotate")
#author("2023-05-22T11:50:45+00:00","default:hotate","hotate")
#contents
&tag(知的財産,法律);

* [[用語集]] [#j0560187]
** 一般 [#wd579051]
- 国内優先権制度
-- 権利
--- 既に出願した特許の内容に関して、内容の改良や新たな内容を付加して新規の特許を出願する場合、先に出願した特許の出願日から1年以内であれば、その新規性や進歩性の判断を先に出願した日を基準とすることができる
-- 対象
--- [[特許権>#v3639108]]、[[実用新案権>#qbc63b2a]]
-- 対象外
--- [[意匠権>#r2c771f6]]、[[商標権>#ma14b8d3]]
-- 情報:[[国内優先権 とは>https://www.patentresult.co.jp/words/2010/04/post-45.html]]
 先に出願した特許に新たな内容を加えて出願した場合、先にした特許出願の内容についての新規性や進歩性など判断を先の出願の日を基準とする。すでに出願した発明に追加したい項目がある場合や、複数の発明を1つに統合したい場合などに有効。
- 訂正審判制度
-- 制度
--- 発明が特許権として登録された後、特許請求の範囲等の訂正を求めることができる制度
-- 目的
--- 特許の一部に誤りがある場合、特許全体が無効になることを防ぐ為
-- 対象
--- 特許権、[[実用新案権>#qbc63b2a]]
-- 対象外
--- [[意匠権>#r2c771f6]]、[[商標権>#ma14b8d3]]

** 著作権 [#bda40a4d]
- 著作権法
-- 公表された著作物は、引用して利用することができる(著作権法第32条)
-- 引用することができる著作物を翻訳して利用することができる(著作権法第47条の6)
- 情報:[[【編集著作物とは何ですか?】 - デジタルおかやまだいひゃっか | レファレンスデータベース>http://digioka.libnet.pref.okayama.jp/detail-jp_c/id/ref/M2008030721320166182]]
 編集著作物は、その素材の選択または配列によって創作性を有するか否かが、重要です。
- 情報:[[原産地等誤認惹起行為 | 時事用語事典 | 情報・知識&オピニオン imidas - イミダス>https://imidas.jp/genre/detail/A-130-0055.html]]
 ある商品、広告、取引書類等に商品の原産地等について誤認させるような表示をするなどの行為のこと。
- 情報:[[無方式主義 - 用語辞典>https://www.cpra.jp/glossary/ma/post_48.html]]
 著作物を創作したり実演したりすることによって自動的に発生するとし、権利の発生に登録などの手続を必要としない考え方
- 支分権
++ 翻訳権・翻案権等
--- 著作物を翻訳、編曲、変形、脚色、映画化、その他翻案などをすることによって、二次的著作物を創作するための権利
++ 二次的著作物の利用に関する原著作者の権利
--- 二次的著作物を利用する場合の権利
-- 情報:[[支分権 - 印刷用語集>https://www.jfpi.or.jp/webyogo/index.php?term=4335]]
 著作権法では利用態様ごとに具体的な権利が定められており、それら具体的な権利を支分権という。
- 特掲
-- 二次的著作物に関する権利である「翻訳・翻案等する権利」(著作権法第27条)および「二次的著作物の利用に関する原著作者の権利」(著作権法第28条)まで移転させる為、その旨を契約書などに特約として明記すること
-- 特約がない場合、これらの権利は著作者など譲渡した者に留保したものと推定される
- 著作隣接権
-- 著作物を基に実演したり、レコードを製作したり、放送事業を行う人が持つ権利
- 職務発明
-- 発明した従業員が特許を受けた場合は、使用者(会社)は[[通常実施権>#v3639108]]を持つ
-- 企業は特許発明の実施を無償で行うことができる
- 職務著作
-- 企業で従業員が職務上作成し、使用者の名義で公表する著作物のこと
-- 契約や勤務規則による別段の定めが無い限り、使用者が著作者になる
-- 情報:[[職務著作|弁護士法人天満法律事務所>https://www.tenma-lo.jp/case/corporate-law/copyright/1393?fbclid=IwAR0bEGQsoGBJVGqPoENqBtEMT4MeEmHO4tzdQYx9I1kLctSzijTuMUhkItU]]
 職務著作とは、著作権法第15条の要件を満たせば、実際に著作物を作成していなくても、法人その他の使用者(これらを「法人等」といいます。)が著作者となり、著作権のみならず著作者人格権を取得することをいいます(例えば、従業員等が描いた絵画などつき、法人等がその絵画などの著作権等を原始的に取得することなどです。この点は、特許における職務発明とは異なります)。
- 存続期間
-- 著作物の創作時にはじまり、著作者の生存中および死後70年存続する(著作者を特定できる場合)
-- ただし、終期計算の起算点は「翌年1月1日」なので「70年後の12月31日」で存続期間が満了する(初年算入)
-- 無名または変名で公表された著作物、会社など団体名義で公表された著作物や、映画の著作権の存続期間は''公表後70年''となる
- 共同著作物
-- 2人以上が共同して創作した著作物のこと
--- 例:複数の人で完成させた1枚の大きな絵画
-- 各人の担当部分を明確に分離できるものは該当しない
--- 例:複数の人が各自1章ずつ担当した書籍(各自の担当部分が明確に分離できる為)
-- 著作権の行使には共同著作者全員の同意が必要
-- 関連:[[共同発明>#v3639108]]

*** 著作者人格権 [#vbd33cbc]
- [[著作者人格権とは?わかりやすく解説|咲くやこの花法律事務所>https://kigyobengo.com/media/useful/837.html#i-2]]
 著作者人格権の具体的内容
 - 公表権(著作権法第18条)
 - 氏名表示権(著作権法第19条)
 - 同一性保持権(著作権法第20条)
 - 名誉声望を害する方法での利用を禁止する権利(著作権法第113条11項)
- 著作物を創作した人である「著作者」の人格的な権利
- 著作物が創作された時点で自動的に付与される
- 著作者本人だけが持っている権利であり、第三者に譲渡したり相続したりすることは出来ない(強行規定)
- 著作者の人格に関する権利のため、存続期間は著作者の''生存中''に限定される
- 職務著作では、(別の定めが無ければ使用者が著作者になる為)著作者に認められる著作者人格権や著作財産権も使用者が有する
+ 公表権
-- 著作物を公開するかどうか、いつどのような方法で公開するかを決定できる権利
+ 氏名表示権
-- 著作物に著作者の氏名を表示するかどうか、どのような表示にするかを決定できる権利
+ 同一性保持権
-- 著作物を改変せず、同一性を保つことを保証する権利
- 情報:[[強行規定と任意規定の違いは?それぞれの具体例と判別方法 |脱印鑑応援ブログ「ハンコ脱出作戦」>https://www.gmosign.com/media/work-style/post-146/#i-2]]
 強行規定は、強制的に適用する法律の規定のことを言います。
 つまり、強行規定に反する契約は締結できないということです。

** 意匠権 [#r2c771f6]
- 対象
++ 工業上利用できること
--- 参考;特許法における発明や実用新案法における考案が登録されるためには「産業上利用できる」ことが要件
++ 創作非容易性がある
--- 誰もが簡単に思いつくようなデザインは、創作性が高いとは言えず意匠登録をすることが出来ない。
++ 視覚を通じて美感を起こさせるもの
--- 香りのように目に見えないものは意匠登録の対象外
- 新規性
-- 工業上利用することができる意匠の創作をした者は、次に掲げる意匠を除き、その意匠について意匠登録を受けることができる(意匠法第3条1項)
+++ 意匠登録出願前に日本国内又は外国において公然知られた意匠
+++ 意匠登録出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠
+++ 2に掲げる意匠に類似する意匠
- 登録料
-- 実体審査の結果、登録査定となった後に納付する。
- 存続期間
-- 出願日から25年(更新制度は ''無し'')
- 部分意匠
-- 物品、建築物または画像の一部分についての意匠を登録できる制度
-- 同一物品に特徴ある部分が複数あるのであれば、それぞれについて部分意匠として出願することが可能
- 組物意匠
-- 組物全体として意匠権が発生するため、構成物品ごとの模倣に対しては権利を行使することが出来ない
-- 構成物品ごとに保護したい場合には、個々の物品ごとに意匠登録を行う
-- 情報:[[組物の意匠制度とは - BUSINESS LAWYERS>https://www.businesslawyers.jp/practices/504]]
 同時に使用される二以上の物品であって経済産業省令で定めるもの(「組物」)を構成する物品に係る意匠は、組物全体として統一があるときは、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができます。
- 秘密意匠制度
--登録日から''3年間''は、意匠を公開せずに秘密にしておくことができる
-- 意匠は特許に比べて模倣が簡単であるため、意匠公報により意匠が公開されると模倣されるリスクが生じるた為の措置
- 関連意匠
-- 本意匠と一緒に扱われるため、意匠権の移転や専用実施権の設定などは、本意匠と合わせて行う
-- 存続期間は、本意匠の出願日から25年
-- 意匠登録を受けようとする関連意匠にのみ類似する意匠についても関連意匠として意匠登録を受けることができる %%意匠登録を受ける関連意匠にのみ類似する意匠については、意匠登録を受けることができない%%(意匠法第10条3項)
- 出願公開制度
-- なし([[特許>#v3639108]]や[[商標権>#ma14b8d3]]との違い)
- 実施
-- 「意匠権者は、業として登録意匠及びこれに類似する意匠の実施をする権利を専有する」(意匠法第23条)
- 新規性喪失
-- 出願人自身の行為であっても、出願前に展示会等で新製品のデザインを発表すると新規性を喪失する
--  新規性喪失の例外
--- 出願人自身の行為で公知となった場合には、公知となってから''1年以内''に意匠登録出願し、かつその事実を証明する書面を出願から''30日以内''に提出すれば、新規性を失っていないという扱いを受けることが出来る
- 登録
-- 同一又は類似の意匠について同日に2以上の意匠登録出願があつたときは、意匠登録出願人の協議により定めた一の意匠登録出願人のみが意匠登録を受けることができる。協議が成立せず、又は協議をすることができない時は、いずれも意匠登録を受けることができない(意匠法第9条2項)
- [[国内優先権制度>#wd579051]]
-- 無し([[商標権>#ma14b8d3]]と同じ)


** 特許 [#v3639108]
- [[通常実施権の当然対抗制度 | 企業法務総合サイトは顧問弁護士探しや法律相談のサイト>http://www.business-finance-lawyers.com/knowledge/intellectual_property/non_exclusive_license.html]]
 特許権者からライセンス契約により通常実施権の許諾を受けていたライセンシーは、特許権者であるライセンサーが特許権を第三者に譲渡した場合、登録等の手続を要せず当然に特許権を譲り受けた第三者に対して自己の通常実施権を主張することができるようになりました。
-- 法改正前:特許庁の登録原簿に通常実施権を登録していた場合のみ、ライセンシーは差止請求等に対抗することが出来た。
-- 法改正後:登録していなくても、自己の通常実施権を主張することが出来る。
-- 対象:特許法、実用新案法、意匠法
-- 対象外:商標法
- 共同発明
-- 発明を譲渡したり、第三者に実施権の設定を行う場合、共有者全員の同意が''必要''
-- 発明の実施について、他の共有者の同意は''不要''(契約による別段の定めが無い場合)
-- 情報:[[2.共同発明の場合の注意点 | 特許業務法人 三枝国際特許事務所[大阪・東京] SAEGUSA & Partners [Osaka,Tokyo,Japan]>https://www.saegusa-pat.co.jp/commentary/patent/6958/]]
 2人以上の者が実質的に協力し合って発明を完成させる場合がありますが、この場合は共同発明として、特許を受ける権利はこれら発明者全員の共有となり、共有者全員でなければ特許出願することができません(特許法第38条)。
-- 関連:[[共同著作物>#bda40a4d]]
- [[差止請求権 - 契約ウォッチ>https://keiyaku-watch.jp/glossary/sashitome-seikyuken/]]
 「差止請求権」は、まだ発生していない損害を防ぐという事前の救済措置となります。
- [[特許権侵害への救済手続 | 経済産業省 特許庁>https://www.jpo.go.jp/support/ipr/patent-kyusai.html]]
 具体的には、侵害者の粗悪品によって、特許権者の業務上の信頼が害された場合と評価できれば、謝罪広告の掲載などの措置を求めることができます。
- 新規性喪失の例外規定
-- 特定の条件において、発明を公開した後に特許出願した場合は、新規性を喪失しないものとして処理される
-- ただし、国内外を問わず「特許、実用新案、意匠又は商標に関する公報に掲載されたもの」は新規性喪失の例外規定の対象外である
- 不当利得返還請求権
-- 消滅時効:権利を行使できることを知った時から5年、または権利を行使できる時から10年
-- 権利を行使するのに侵害者の故意・過失は必要ない。
- [[特許を受ける権利についての用語を詳しく説明します。:パテントに関する専門用語詳細ページ(今岡憲特許事務所)>http://imaokapat.biz/__HPB_Recycled/yougo301-400/yougo_detail315.html]]
 特許を受ける権利とは、国家に対して所定の要件を具備する発明について特許権の設定を要求できる権利である
- [[第三者対抗要件とは何? わかりやすく解説 Weblio辞書>https://www.weblio.jp/content/%E7%AC%AC%E4%B8%89%E8%80%85%E5%AF%BE%E6%8A%97%E8%A6%81%E4%BB%B6]]
 特許権についての通常実施権や、商標権についての通常使用権は、特許庁への登録が第三者対抗要件となっている。これらについて登録をしておけば、特許権や商標権が移転した場合、新たな権利者に対しても、通常実施権、通常使用権を持っていることを主張できる。
- 存続期間
-- 開始:登録日
-- 終了:出願日から20年
- 専用実施権
-- 定義:設定した範囲にて、特許発明を排他独占的に利用できる権利
-- 手続:当事者の設定契約と''設定登録が必要''
-- 権限:排他独占的に発明を利用することができ、他人が実施した場合に差止請求等をすることが可能
-- 注意:特許権者であっても特許発明を実施することができない(コメント:意外に厳しい)
-- 情報:[[専用実施権とは?通常実施権との違いや申請方法を解説! | 電子契約サービス「マネーフォワード クラウド契約」>https://biz.moneyforward.com/contract/basic/2524/]]
 特許庁への専用実施権設定登録申請では、「1.専用実施権設定登録申請書」に、「2.専用実施権設定契約証書」と、「3.特許権者の印鑑証明書」を添付して申請します。
- 通常実施権
-- 手続:専用実施権と異なり、登録等の契約以外の''手続は不要''
-- 制限:専用実施権者とは異なり、通常実施権者は特許権を侵害する第三者に対して差止請求や損害賠償請求を行うことは認められない
-- 共有:各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、特許権に専用実施権を設定し、又は他人に通常実施権を許諾することができない(特許法第73条)
- 独占的通常実施権
-- 損害賠償請求権:あり(判例)
-- 差止請求権:なし(専用実施権との差異がなくなる為)
- 実施
++ 物を生産する機械の発明の場合
--- 対象となる発明の生産、使用、譲渡、輸出、輸入などが含まれる
--- 機械を輸入する行為は「発明の実施」に該当する
--- 機械により生産した物を輸入する行為は「発明の実施」に''該当しない''
++ 物を生産する方法の発明の場合
--- その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出・輸入する行為も実施に該当する
- 共有
-- 特許権が共有に係るときは、各共有者は他の共有者の同意がなくとも特許発明を実施できる(契約で別段の定めをした場合を除く)
- 過失の推定規定
-- 侵害者の故意や過失について権利者が立証しなければならないところを、侵害者には過失があったものと推定する規定(特許法第103条)
-- 業として実施をするのであれば公開情報を調査し他者の権利を侵害しないよう注意する程度の義務を課してもよいという考えに基づく([[実用新案>#qbc63b2a]]権侵害との違い)
- 出願公開制度
-- あり([[商標権>#ma14b8d3]]と同じ)
- 裁定通常実施権
-- 通常実施権の設定を要求できる制度
-- 特許発明が不実施の場合に、特許庁長官等に通常実施権の裁定請求を行うことができる
-- 公共の利益のために行使される
- 特許権利主体
-- 未成年者でも可能
-- 情報:[[特許権に関するQ&A|特許権は誰が取得することができるのですか?|弁護士法人ロウタス法律事務所>https://www.lotus-law.jp/intellectual/tokkyo/tokkyo5.html]]
 未成年の場合も権利能力がないため出願できません(結婚した場合や営業を許可された場合を除く)。そのため、法定代理人が未成年者を代理して出願をする必要があります。もっとも、あくまでも特許を受ける権利を有しているのは未成年者ですので、未成年者が特許権者となります。
- 図面提出
-- 必須ではない([[実用新案>#qbc63b2a]]との違い)


** [[実用新案]]権 [#qbc63b2a]
- [[実用新案制度|経済産業省北海道経済産業局>https://www.hkd.meti.go.jp/hokig/student/h06/index.html]]
 実用新案法では、保護の対象を「物品の形状、構造又は組合せに係る考案」に限定しています。このため、特許法では保護される「方法」や「材料」のようなものは実用新案の保護対象となりません。
-- コメント:方法の「考案」は実用新案法では保護されず、方法の「発明」は特許法で保護される。
- [[実用新案登録に基づく特許出願制度 | 特許業務法人 三枝国際特許事務所[大阪・東京] SAEGUSA & Partners [Osaka,Tokyo,Japan]>https://www.saegusa-pat.co.jp/commentary/utilitymodel/1372/]]
 実用新案登録に基づく特許出願制度
 基礎となった登録実用新案は、特許出願と同時に放棄しなければなりません。
- 図面提出
-- 必須([[特許>#v3639108]]との違い)
- 審査
-- 方式審査のみ(実体審査は無し<無審査主義>)
- 存続期間
-- 開始:登録日
-- 終了:出願日から10年
- 特許出願
-- 出願日から3年以内であれば、実用新案権から特許権に変更するために、実用新案登録を基にした特許出願をすることが可能
- 特許との違い
-- 考案は「物品の形状、構造または組み合わせに係る」ものに限定される(実用新案法第1条)
-- 情報:[[実用新案登録出願をする理由、商標登録、特許申請、橋本商標特許事務所>http://hashimoto-ip.com/jpage1.html]]
 つまり、発明と考案の違いは、「高度のもの」 という一言があるかないかです。
- [[国内優先権制度>#wd579051]]
-- あり([[特許>#v3639108]]と同じ)
- 出願公開制度
-- なし([[特許>#v3639108]]や[[商標権>#ma14b8d3]]との違い)
- 過失の推定規定
-- なし([[特許権>#v3639108]]との違い)

** 商標権 [#ma14b8d3]
- 登録要件
-- 自社の商品や役務を、他社の商品や役務と区別できること(自他商品等識別力)
- 存続期間
-- ''登録日''から10年(更新登録することで何度でも延長可能)
- 移転
-- 2つ以上の指定商品・指定役務を指定する商標権は、指定商品・指定役務ごとに分割して移転することで、指定商品や指定役務の一部のみを移転することが可能
- 団体商標登録制度
-- 社団法人や事業共同組合などの団体で、商標を登録できる制度
-- 団体商標を登録すると、団体を構成する構成員が、許諾を受けなくても団体商標を使用できる
-- 自由に移転することができる。ただし、団体商標に係る商標権を移転する場合は、相手方は一般社団法人や事業協同組合など団体商標の商標登録を受けられるものに限られる。それ以外の者に移転する場合は、通常の商標権に変更されたものと見なされる。
- 地域団体商標登録制度
-- 地域名に商品の普通名称を組み合わせた商標を登録できる制度
-- 事業協同組合などの法人格を有する組合が出願可能(団体の構成員も利用可能)
--- 株式会社、社団法人などは出願不可
-- 特徴
--- 地域名に商品の普通名称を組み合わせた商標を登録できる制度
--- 事業協同組合などの法人格を有する組合が出願可能(団体の構成員も利用可能だが、株式会社、社団法人などは出願不可)
--- 譲渡不可、専用使用権の設定不可
-- 対象となる商標
+++ 地域名+商品または役務の普通名称
+++ 地域名+商品または役務の慣用名称
+++ 1または2+産地等を表示する際に付される文字として慣用されている文字(例:名産、本場〇〇等)
-- 対象外
--- 地域の名称のみからなる商標
-- 譲渡不可、専用使用権の設定不可
- 小売等役務商標制度
-- 小売業者や卸売業者が行っているサービス活動全般(役務)を指定した商標登録ができる
-- 小売業者だけではなく、卸売業者が行っているサービス活動(役務)も対象
-- 他者が小売等役務商標の登録を受けた場合でも、小売等役務商標制度が導入される前から使用してきた商標であれば、従来の業務範囲内で商標を使い続けることができる
-- 小売店が登録すれば、店の看板や従業員の制服などに登録商標を付すことも、登録商標の使用として商標法の保護を受けることができる
- 登録異議の申立て制度
-- 認められれば商標権は消滅する
-- ただし、登録異議の申立ては商標掲載公報の発行の日から''2か月以内''に限られる
- 不使用取消審判制度
-- 指定商品・指定役務について継続して3年以上登録商標の使用がされていない場合、その商標登録に対して不使用を理由とする取消審判(不使用取消審判)を請求することが出来る
- マドリッド協定議定書(マドリッドプロトコル)
-- 国際商標登録出願(マドプロ出願)
--- 日本が加盟している商標の国際出願制度
--- 世界知的所有権機関(WIPO)国際事務局が管理する国際登録簿に国際登録を受けることにより、指定締約国において保護を確保できる
--- 外国での商標権の取得が日本の特許庁での手続で可能(特許庁に出願、登録されている国内の商標が基本)
- 出願公開制度
-- あり([[特許権>#v3639108]]と同じ)
- 下記の商標は識別力がない為、登録できない(商標法第3条1項)
++ その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
++ その商品又は役務について慣用されている商標
++ その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状(包装の形状を含む。第26条1項2号及び3号において同じ。)、生産若しくは使用の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、態様、提供の方法若しくは時期その他の特徴、数量若しくは価格を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
++ ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
++ 極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標
++ 前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標
- 特別顕著性
-- 1項の3号~5号に該当する商標でも「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」については、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる(商標法第3条2項)
-- 記述的商標や氏名などを長年繰り返し使用した結果、特定の者と密接に結びついて識別力を有するようになることが経験的に認められている
-- 情報:[[1.5.7 登録できない商標の例外~永年使用による特別顕著性 - 弁護士法人クラフトマン IT・技術・特許・商標に強い法律事務所(東京丸の内・横浜) >https://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/shouhyou/index/tokubetukenchosei/]]
 特別顕著性とは、その商標が、出所表示として、その商品・役務の需要者の間で認識されているものであることをいいます。
- 先使用権
-- 日本国内において他人の商標登録出願前から、不正競争の目的ではなく、当該商標が使用されていた結果、需要者に広く認識されて、その者が継続して使用する限り、企業努力によって蓄積された信用と、商標を使用する権利を既得権として保護する(商標法第32条)
- 禁止権
-- 権利
--- 同一の商標を類似の商品・役務に使用することや、類似する商標を同一・類似の商品・役務に使用することを禁止することが可能
-- 条件
--- 利用者に混同を生じさせることまでは求められておらず、類似するだけで良い
- [[国内優先権制度>#wd579051]]
-- 無し([[意匠権>#r2c771f6]]と同じ)
- 立体商標
-- 「自他商品等識別力」など登録要件を満たせば、立体商標として登録を受けることができる
-- 立体的な形状でも、意匠登録出願をした場合には、立体商標の商標登録出願に変更することはできない

** 不正競争防止法 [#z64e9c87]
- [[不正競争防止法における営業秘密の3要件とは>https://legalsearch.jp/portal/column/3-requirements-for-trade-secrets/]]
 営業秘密として保護されるためには
 - 秘密管理性(秘密として管理されていること)
 - 有用性(有用な営業上又は技術上の情報であること)
 - 非公知性(公然と知られていないこと)
-- 注意:「機密性」「独自性」は含まれない
- 不正競争行為
-- 他人の商品等表示として需要者の間に広く認識されているものと同一、または類似の商品等表示を使用し、他人の商品または営業と混同を生じさせる行為のこと
- 著名表示冒用行為
-- 定義
--- 他人の''著名な''商品等表示と同一・類似の商品等表示を使用し、またはその商品等表示を使用した商品等を譲渡等する行為のこと(不正競争防止法2条1項2号)
-- 適用
--- 他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用すること
--- ただ乗り(フリーライド)
--- 表示力を弱める希釈化(ダイリューション)
--- 良いイメージを汚染(ポリューション)
-- 要件
--- 著名な商品等表示を使用すること(''混同を生じさせることは不要'')
-- 情報:[[著名表示冒用行為(不正競争防止法第2条第1項第2号):不正競争防止法 :不正競争行為|東京都港区で知的財産権のことなら虎ノ門法律特許事務所「商標・不正競争防止法相談室」>https://www.chizaisoudan.com/20unfaircompetitionprevention/2010fraud/2010fraud03.html]]
 著名表示の財産的価値が侵害されていることが問題なのであって、「混同」が生じているかどうかは必ずしも重要ではないと考えられることから、他人の著名な商品等表示の冒用行為について、混同を要件とすることなく不正競争の一類型とする本号の規定が設けられました。
- 周知表示混同惹起行為
-- 需要者に広く認知されている他人の商品等表示と、同一もしくは類似した商品等表示を使用し、他人の商品と混同を生じさせる行為(不正競争防止法2条1項1号)
-- 情報:[[コラム | 弁護士法人松本・永野法律事務所|福岡・久留米・朝倉・大牟田・長崎の法律相談>https://mn-law.jp/column/general-corporate/well-known-display/#sec01]]
 周知表示混同惹起行為は、顧客から一定の評価をされている商品等と同一もしくは類似の商品等表示を使用し、またはその商品等表示を使用した商品の譲渡等を行って、他人の商品や営業と混同を生じさせる行為のことをいいます。
-- 別名:商品等表示混同惹起行為
- 商品形態模倣行為
-- 他人の商品の形態を模倣した商品の譲渡・貸渡し等をすること
-- 日本国内で最初に販売した日から''3年''を過ぎた商品については適用対象外(デッドコピー規制)
-- 模倣とは、他人の商品の形態に依拠して、実質的に同一の形態の商品を作り出すこと(不正競争防止法の規定)
- 誤認惹起行為
-- 商品の原産地や品質、内容、製造方法、用途、数量などについて、誤認させるような表示等をする行為
- 競争者営業誹謗行為
-- 自社と競争関係がある他人について、信用を害するような虚偽の事実を告知したり、流布する行為
- [[限定提供データ|ITパスポート試験ドットコム>https://www.itpassportsiken.com/word/%E9%99%90%E5%AE%9A%E6%8F%90%E4%BE%9B%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF.html]]
 組織が管理する情報のうち、限定提供性、相当蓄積性、電磁的管理性を満たす情報のこと。
 有効活用が期待される位置情報データや気象データなどは、他者との共有を前提とし営業秘密には該当しない、創造性が認められない、という理由からこれらの法律の適用外となり、一度不正に流通するとデータ複製が容易であるため被害が急速に拡大することになる。
 そこで利活用が期待されている価値の高いデータ(複数者に提供・共有されることで新たな事業の創出につながる、サービスや製品の付加価値を高めるなど)を保護し、安心して取引できる環境を整備するために、不正競争防止法に限定提供データの定義と限定提供データに係る不正競争行為(取得・使用・開示)が規定された。
- 限定提供データ不正行為
-- 営業秘密には当たらないものの、IDとパスワードで管理されて限定提供されるデータを、不正な手段で取得したり、他人に開示する行為
- デッドコピー行為
-- 情報:[[Q9. デッドコピー商品への対策 | 経済産業省 特許庁>https://www.jpo.go.jp/support/ipr/qanda/q09.html]]
 これらの権利を持っていない場合には、不正競争防止法第2条第1項第3号によって、輸入や販売を止めさせることが考えられます。この不正競争防止法第2条第1項第3号は他人の商品の形態を模倣した場合を規制しています。

** 条約 [#f47b7c92]
- [[PCT国際出願制度の概要 | 経済産業省 特許庁>https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/seido/kokusai1.html]]
 特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく国際出願とは、ひとつの出願願書を条約に従って提出することによって、PCT加盟国であるすべての国に同時に出願したことと同じ効果を与える出願制度です。
- PCT国際出願
-- 国際的に統一された出願願書をPCT加盟国である自国の特許庁に対して特許庁が定めた言語で作成して1通だけ提出すれば、その時点で有効なすべてのPCT加盟国に対して「国内出願」を出願することと同じ扱いを得ることができる
- 国内移行手続
-- 国際出願を各国の国内手続に係属させるための手続のこと
- [[ハーグ協定のジュネーブ改正協定の概要 | 経済産業省 特許庁>https://www.jpo.go.jp/system/design/hague/seido/hague-geneva.html]]
 意匠について、一つの国際出願手続により国際登録簿に国際登録を受けることによって、複数の指定締約国における保護を一括で可能とするものです。
- [[商標法に関するシンガポール条約(STLT)の概要 | 経済産業省 特許庁>https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/wipo/stlt_20160210.html]]
 STLTは、各国で異なる商標登録出願等に関する手続の統一化及び簡素化を目的とし、出願人の利便性向上及び負担軽減を図る条約です。
- [[Q:ベルヌ条約とはどんな条約ですか? - 公益社団法人 日本写真家協会>https://www.jps.gr.jp/post_23/]]
 著作権における国際的保護の基本として最も重要であり、世界の著作権法といえるものです。
- パリ条約
-- 産業財産権([[特許権>#v3639108]]、[[実用新案権>#qbc63b2a]]、[[意匠権>#r2c771f6]]、[[商標権>#ma14b8d3]])の国際的な保護を目的とした条約
-- 優先権は、ある加盟国にて出願した者が、別の加盟国に同一の出願をした場合、最初の国での出願の時を基準として新規性などの判断が行わる
-- 最初の出願日から一定期間内に申請を行った場合に適用される
--- [[特許権>#v3639108]]、[[実用新案権>#qbc63b2a]]:12か月以内
--- [[意匠権>#r2c771f6]]、[[商標権>#ma14b8d3]]:6か月以内
- [[特許法条約(PLT)の概要 | 経済産業省 特許庁>https://www.jpo.go.jp/news/kokusai/wipo/plt_20160210.html]]
 特許法条約(Patent Law Treaty)
 PLTは、各国で異なる特許出願等に関する手続の統一化及び簡素化を目的とし、出願人の利便性向上及び負担軽減を図る条約です。


** 貿易 [#c5ccd6db]
- [[TRIPS協定とは - コトバンク>https://kotobank.jp/word/TRIPS%E5%8D%94%E5%AE%9A-157228]]
 貿易に関連する知的財産権(知的所有権)の保護を定めた国際協定。
- [[FOB | ロジスティクス用語集 | 日本通運>https://www.nittsu.co.jp/support/words/def/free-on-board.html]]
 Free on board
 本船渡し
 輸出港で、買い手(輸入者)の指定する船舶に貨物を積み込むことによって契約が完了し、運賃および保険料は買い手が負担します。
- [[CIF - 貿易用語集 - - 内外トランスライン株式会社>https://www.ntl-naigai.co.jp/glossary/c/cif.html]]
 Cost Insurance and Freight
 運賃保険料込みのこと
 売主は、貨物を指定本船に積み込むまでの費用・海上運賃・保険料を負担する。
- [[インコタームズ2020 | 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る - ジェトロ>https://www.jetro.go.jp/world/qa/J-200309.html]]
 インコタームズ(Incoterms)とは、1936年、国際商業会議所(ICC)が制定した貿易取引条件とその解釈に関する国際規則です。
- 準拠法
-- 外国企業との取引で紛争が発生した時に適用される国の法律のこと
- 裁判管轄
-- どこの国で裁判を行うかについてあらかじめ当事者が合意しておくこと
-- 裁判管轄と準拠法はそれぞれ任意に定めることが可能(相互に関係しない)
- ウィーン売買条約
-- 国際的な物品売買に関して取り決めを行っている条約
-- 締約国間の取引では、条約で規定されている内容が原則として適用される為、個別の契約書に記載されていなくても有効
- 荷為替手形
-- [[荷為替手形とは?仕組みや仕訳をわかりやすく解説 | クラウド会計ソフト マネーフォワード>https://biz.moneyforward.com/accounting/basic/58424/]]
 「荷為替手形」とは、貨物引換証や船荷証券などの書類を添付している為替手形です。
- 信用状取引
-- [[「L/C(信用状)」取引における輸出入者と銀行の関係を理解しよう | みんなの仕事Lab-シゴ・ラボ->https://lab.pasona.co.jp/trade/word/97/]]
 この輸出者(売り手)、輸入者(買い手)双方のリスクを回避し、取引を円滑に進めるために利用されているのが、銀行が発行する「信用状(L/C/Letter of Credit)」です。


** パブリシティ権 [#wa38147b]
- 根拠
-- 根拠となる法令が存在せず、判例で確立してきた権利
- 権利
-- 著名人の氏名や肖像が、商品の販売などを促進する顧客吸引力を有する場合に、この顧客吸引力をもつ氏名や肖像の経済的価値を、本人が排他的に独占できる権利のこと
-- 根拠となる法令が存在せず、判例で確立してきた権利
- 侵害の要件
++ 肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する場合
++ 商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付す場合
++ 肖像等を商品等の広告として使用する場合


* 関連 [#w89a263d]
#related

#taglist(tag=知的財産)

トップ   編集 差分 履歴 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS